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【旧BBSから移行】フォトカプラ・基本の「キ」(1)
投稿日 : 2013/04/29(Mon) 01:03
投稿者 中の人1号
「MOSFETによるロードスイッチ設計のツボ」連載が案外長くなりましたので、別スレッドにしました。
すごく根本的なところからご紹介しますので、ご存知の方にはしばらくのご辛抱をくださいます様お願いします。

フォトカプラは、発光素子と受光素子を組み合わせた部品です。発光素子は電力が与えられると光を発生する、つまり電気を光に変換する素子です。受光素子は光が与えられると電圧または電流を発生する、つまり光を電気に変換する素子です。

発光素子と受光素子は向かい合わされており、それらの間には光を透過する樹脂・不活性ガスなどがあります。なので発光素子からの光は、そのほとんどが受光素子に入るようにされています。さらにこれらの周囲は光を遮断する樹脂・金属などで囲まれています。なので周囲の光による影響を受けないようにされています。

まとめますと、フォトカプラは入力された電気信号をいったん光に変換して、その光を再び電気信号に変換して出力するものです。入力と出力の間は光結合…光による信号伝達が行われるので、電気的なつながりはありません。この事を「電気的に絶縁されている」と言い表したりします。フォトカプラの第一の目的はこの「電気的な絶縁」です。安全上の理由やノイズ対策などの理由により、電気的には切り離したいが情報は伝達したい場合の選択肢のひとつです。フォトカプラ以外の選択肢としては、電気→磁気→電気の変換を行う部品としてトランス(変電器)やリレー(継電器)などがあります。
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【旧BBSから移行】フォトカプラ・基本の「キ」(2)
投稿日 : 2013/04/29(Mon) 02:31
投稿者 中の人1号
参照先
発光素子にはほとんどの場合LED(発光ダイオード)が使用されます。以前には電球が使用されていたそうなのですが僕は知りません。受光素子にはフォトダイオード、フォトトランジスタ、CdS(硫化カドミウムセル)などが使用されます。品種によっては受光素子の後にMOSFETやトライアックなどのスイッチ素子や、ロジックバッファなどの信号処理回路が内蔵されているものがあります。

用途としては大きく、デジタル(2値)信号の伝達用と、アナログ(連続値)信号の伝達用に分けられます。ここではデジタル(2値)信号伝達用フォトカプラについて、お話を進めていきます。

デジタル(2値)信号伝達用フォトカプラは受光素子にフォトトランジスタを使用するものと、その後段にロジックバッファを追加したものがほとんどです。前者は低速〜中速用途(おおむね数100kHz程度まで)、後者は高速〜超高速用途(数MHzとか、それ以上)が使い分けの目安になると思います。

デジタル(2値)信号伝達用フォトカプラの変わり種に、受光素子に光電池(フォトダイオードを多数直列接続したもの。太陽電池も光電池の一種)を使用したものがあります。出力側に電源を必要とせずにMOSFETのゲートを駆動できるなどの用途があります。東芝の商品名ですが、フォトボルと呼ばれる事が多いです。MOSFETも内蔵して、機械接点式リレーに似た使い方ができるようにしたものは、フォトMOSリレーと呼ばれます。
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【旧BBSから移行】フォトカプラ・基本の「キ」(3)
投稿日 : 2013/04/30(Tue) 15:03
投稿者 中の人1号
参照先
いよいよ回路設計に入ります。フォトカプラもフォトMOSリレーなどの派生品種も、そのほとんどが発光素子にLEDを使用しています。なのでその駆動回路は、基本的には通常のLED駆動回路と変わりありません。

左の図はLED駆動回路の最も単純な構成です。図中の制御回路はマイコンや論理ゲートなどのロジック出力(High出力=ほぼ+電源電圧、Low出力=ほぼGND電圧)を想定しています。LED点灯時に流れる電流の向きも図示しましたので、これも意識してください。

とても単純な回路ですが、この段階から設計者の判断が求められます。図の上側(High出力で点灯)を選ぶか、下側(Low出力で点灯)を選ぶかです。

制御回路のロジック出力が、Highを出力する際の電流吐き出し(電流ソースと呼ばれる場合もあります)能力と、Lowを出力する際の電流吸い込み(電流シンクと呼ばれる場合もあります)能力の、どちらが大きいかによって判断します。

この判断基準はマイコンや論理ゲートなどのデータシートから得ます。海外製品のデータシートは英文表記が圧倒的なのでそれも併記して、データシートの見方もさらっと解説します。High出力時の電流吐き出し能力はIOH、Low出力時の電流吸い込み能力はIOLで表されます(ほとんどの場合Iが通常文字、以降が下付き文字で表記されます)。

絶対最大定格(英文だとAbsolute Maximum Ratings)の記載は当然超えてはならない値ですが、ギリギリの状況で何が起きるかは記載されていない場合が多く、参考に出来ません。推奨動作条件(Recommended Operating Conditions)や電気的特性(Electrical Characteristics)に記載の値を参考にします。

VOH/VOL(High/Low出力時の電圧)と併記されている値が最も参考になります。High出力時に多くの電流を吐き出す程、出力電圧は下がります。Low出力時に多くの電流を吸い込む程、出力電圧は上がります。VOH/VOLとIOH/IOLの併記は、実用的な限度を示してくれている場合が多く、有用なわけです。

具体例を見ていきましょう。各データシートはWWWから取得可能ですので、ぜひ実際に探し出してご覧になってみてください。

HD74LS00(旧日立、現ルネサス製 TTL NANDゲート)のデータシートには推奨動作条件としてIOH(Max.)-400μA、IOL(Max.)8mA、電気的特性としてVOH(Min.)2.7V@IOH=-400μA、VOL(Max.)0.5V@IOL=8mA、いずれも@Vcc=4.75V,Ta(周囲温度)=-20〜+75℃とあります。電流値の正負は電流の向きを表すもので、電流の向きを理解できていればここでは絶対値を扱って差し支えありません。IOH(Max.)の400μAは=0.4mAなのでIOL(Max.)の8mAとは格段の開きがありますし、VOHも2.7Vしかありません。結論&一般論として、TTLゲートの出力はHigh出力時の電流吐き出しは苦手で、Low出力時の電流吸い込みは得意という事になります。

TC74HC00AP(東芝製 CMOS NANDゲート)のデータシートには特長に「|IOH|=IOL=4mA(最小)」とあり、電気的特性・DC特性にはVOH(Min.)4.13V@IOH=-4mA、VOL(Max.)0.33V@IOL=4mA、いずれもVcc=4.5V,Ta=-40〜85℃とあります(Ta=25℃での記載もありますが、データシートはワーストケース…最も厳しい条件での表記を見ます)。この製品は電流吐き出しも吸い込みも同じ能力を持つ事が判ります。

PIC16F883-I/SP(Micrichip製マイコン)のデータシートには「17.5 DC Characteristics」にVOL(Max)0.6V@IOL=8.5mA、VOH(Min.){VDD-0.7}V@IOH=-3.0mA、いずれもVdd=4.5V,-40℃≦Ta≦+85℃とあります。この製品はそこそこ高い電流吐き出し能力を持ち、さらに高い電流吸い込み能力を持つ事が判ります。

各具体例における最終判断は、以下の通りとなります。

▼HD74LS00
…電流吐き出し能力はほとんど無く、吸い込み能力は高い
→図の下側(Low出力で点灯)

▼TC74HC00AP
…電流吐き出し能力と吸い込み能力が等しい
→図の上下どちらも選択可能

▼PIC16F883-I/SP
…電流吐き出し能力はそこそこ、吸い込み能力は高い
→図の上側(High出力で点灯)も選択可能だが、
 図の下側(Low出力で点灯)の方が余裕がある

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【旧BBSから移行】フォトカプラ・基本の「キ」(4)
投稿日 : 2013/04/30(Tue) 22:54
投稿者 中の人1号
参照先
ゴールデンウィークだというのに、天気悪いですね…。
さて、前回は制御回路側のロジック出力によって、流せる電流の上限が決まってしまいましたが、LED側の事情はどうでしょう?

フォトカプラの発光素子として使用されるLEDも、通常のLEDと基本は変わりありません。データシートの記載もほぼ同じです。はじめに見るべき項目は順方向電流IFです。推奨動作条件にこのIFが記載されていればそれに従います。無い場合は絶対最大定格に記載されている値の1/4〜1/2あたりが適正値であろうかと思います。また電気的特性に記載される、順方向電圧降下VFの条件として併記されるIFも適正値として採用可能かと思います。

具体例を見ていきましょう。

TLP781(東芝製 汎用品)の絶対最大定格におけるIFは60mA、この1/4〜1/2は15〜30mAです。推奨動作条件におけるIFは標準16mA、最大25mA。電気的特性における順電圧VF=1.0〜1.3Vの条件がIF=10mA、ここの値は推奨動作条件の範囲から外れており、見る側は困惑します。メーカーの姿勢として望ましくないのではと思ってしまいます。

PS2501-4(旧NEC、現ルネサス製 汎用品)の絶対最大定格におけるIFは80mA、この1/4〜1/2は20〜40mAです。推奨動作条件の記載は無く、電気的特性における順電圧VF=1.17V(Typ.)の条件がIF=10mAです。

なんとも大雑把な感じがするのですが、それでもフォトカプラはしっかりと機能してくれる部品です。だからといってデータシートの記載のいい加減さや不統一感はなんとかしてもらいたいものだと思います。

ここまでの結論として、汎用のフォトカプラのIFの適正値は概ね10数mAを中心と考えて問題無いかと思います。もちろん個別の品種についてデータシートを確認する事は不可欠です。
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【旧BBSから移行】フォトカプラ・基本の「キ」(5)
投稿日 : 2013/04/30(Tue) 23:38
投稿者 中の人1号
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制御回路側のロジック出力が流せる電流の上限値は、具体例を挙げたものについては
・HD74LS00が8mA
・TC74HC00APが4mA
・PIC16F883-I/SPが8.5mA
でした。一方でフォトカプラの発光素子として使用されるLEDは、流される電流の適正値が10数mAでした。これらの間には少なからずの差がありますが、そのまま接続するのなら制約の大きい前者に合わせる事になるでしょう。

フォトカプラのLEDに流す電流は経験則的なのですが、2〜3mA程度までならば絞る込む事が可能です。その場合の留意点があります。電流伝達率CTR(LEDに流した電流の何%が、フォトトランジスタに流す事が出来るか。例えばCTRが300%でLEDに10mAの電流を流すと、フォトトランジスタには30mAまでの電流を流す事が出来る)が、LED電流の減少に応じて減少する点です。汎用フォトカプラのCTRは50〜400%程度が一般的ですが、LED電流の低い領域では最悪値で10%を見込んでおけば概ねOkです(これらは目安ですので、個別データシートは必ず確認してください)。

LED電流が4mA、CTR10%としてフォトトランジスタには0.4mA、飽和状態(これ以上流せない状態)で使用するので0.2mAまでとしても、デジタル信号の伝達には充分なレベルかと思います。MOSFETのゲートを直接駆動する事も、スイッチング速度が問題にならないケースであれば可能でしょう。

制御回路側とLED側、両方の事情を満たす電流値が決まれば、LEDに直列に挿入する電流制限抵抗の値も計算で求める事が出来ます。計算方法とその他の留意点等については、次回までお待ちください。
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【旧BBSから移行】フォトカプラ・基本の「キ」(コーヒーブレイク)
投稿日 : 2013/05/01(Wed) 10:04
投稿者 中の人1号
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「飽和」って、何でしょうね?
これまでにも何回か出てきました、飽和の意味について、考えてみましょう。

ヒントは、入力と出力を持つ系における、入力と出力がある関係にある状態です。
入力と出力がどういった関係の時、それを飽和と呼ぶのでしょう?

身近なところでは、飽和水蒸気量とか飽和食塩水…あまり身近ではなかったですね。
これらにも上記のヒントがあてはまります。
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【旧BBSから移行】フォトカプラ・基本の「キ」(6)
投稿日 : 2013/05/06(Mon) 15:28
投稿者 中の人1号
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コーヒーブレイクはしばらくネタ振りしたままにしておきましょうか。延べ1000人を超える方にご覧いただき、これ以上を望むのは贅沢が過ぎます。活発な議論と呼べる状況にはまだしばらくの時間が必要なのでしょうね。まあ気長にやっていきますので、気長にお付き合いください。

左の図ですが、1点書き忘れました。
図中の抵抗は抵抗値R[Ω]です。

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【旧BBSから移行】フォトカプラ・基本の「キ」(7)
投稿日 : 2013/05/06(Mon) 21:29
投稿者 中の人1号
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さて、前回まででフォトカプラ発光側のLEDに流す電流値がほぼ決まりました。図中の記号I[A]ですね。

Vsは最大・最小・標準値を求めておきます。

最大値は電源電圧です。

最小値はHigh出力で点灯させる場合はVOH(Min.)、Low出力で点灯させる場合は電源電圧-VOL(Max.)です。VOH(Min.)・VOL(Max.)はそれぞれ、電流Iを流した場合のものです。
標準値は最大値と最小値の中央でもいいですし、VOH・VOLに標準値(Typ.)の記載があればそれを使用して求めてもいいです(High出力で点灯させる場合はVOH(Typ.)、Low出力で点灯させる場合は電源電圧-VOL(Typ.)ですよ)。

Vfも最大・最小・標準値を求めておきます。これはフォトカプラ発光側LEDの順方向電圧降下と呼ばれます。大体は1〜3Vです。品種によって異なりますし、同一品種でも個体差があります。同一品種の同一固体でも流れる電流と温度(厳密には接合部温度)によって変化します。なのでこの範囲をきちんと把握する事はけっこう難しいです。

具体例としてTLP781(東芝製 汎用品)のデータシートを見てみます。ぜひ実際に見てみてください。なお、以下の考え方があらゆる場面で絶対的に正しいという保障は無く、厳格な設計には半導体メーカーとの個別確認などが必要になります。

電気的特性・発光側・順電圧の欄にはTa=25℃・If=10mAで最小1.0/標準1.15/最大1.3Vとあります。1.15±0.15V、約±13%です。これをこの品種の個体差と考えます。別ページにはIf-Vf(順電流と順電圧の関係)のグラフがあり、例えば2mAでは1.10V、10mAでは1.18Vあたりである事がわかります。温度の条件が記載されていません(本当にいい加減で困ります)が、25℃付近であると考えるしかないです。

ΔVf/ΔTa-Ifというグラフもあり、順電流の値によって順電圧の温度依存性が異なる事がわかります。例えば2mAでは-1.45mV/℃、10mA以上では-1.3mV/℃あたりです。2mAで使用温度範囲を-10〜40℃とすると、標準を25℃(この時Vfは1.10V)として-10℃では-1.45×(-10-25)=50.75mVなので約1.151V、40℃では-1.45×(40-25)=-21.75mVなので約1.078Vです。

順電圧の小さい側・1.078Vに個体差もあって小さく振れたとすると1.078×(1-0.13)≒0.938Vでこれを最小値とします。大きい側・1.151Vに個体差もあって大きく振れたとすると1.151×(1+0.13)≒1.301Vでこれを最大値とします。

かなりシンドいですね。ここまでで一旦区切りとしましょう。
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【旧BBSから移行】フォトカプラ・基本の「キ」(7・補足)
投稿日 : 2013/05/07(Tue) 13:10
投稿者 中の人1号
参照先
記号について、なんとか[かんとか]と書く場合がけっこうあります。「なんとか」の部分は本当に記号で、ある物理量(本連載の中では電圧や電流、抵抗の値などですね)を図や式の中で扱いやすいように置き換えて使うためのものです。通常は英文字が、時々ギリシア文字も使用されます。

角括弧でくくられた「かんとか」の部分は単位が記載されます。単位には接頭辞(以前は補助単位と呼ばれていました)が付く場合が往々にしてあるので充分注意してください。例えば1[V]と1[kV]では大変な違いです。

記号として典型的に使われる英文字がいくつかあります。
・V,E … 電圧
・I … 電流
・R … 抵抗
・L … インダクタンス(コイルの自己誘導の度合い)
・C … キャパシタンス(コンデンサの静電容量)
・Z … インピーダンス
・Q … 電荷量、または共振回路の共振の鋭さ
・f … 周波数
・T … 温度
・t … 時間

電圧のVは抵抗やインピーダンスに電流が流れた結果として生じる電位差(電圧降下)を、Eは電池など自ら電位差を生じる起電力に使われる場合が多いですが、けっこうあいまいです。

電圧と電流は英大文字(V,I)の場合、直流のそれらを意味します。英小文字(v,i)の場合、交流のそれらを意味します。瞬時値の場合が多い気がしますが、実効値や波高値なども場合によりけりです。

これらの記号が使われるようになった由来もあるはずです。VはVoltage、RはResistanceの頭文字などですが、詳細は割愛します。興味のある方は検索してみてください。

複数の同じ物理量を表現する場合、これらに続く文字で区別します。表現が可能なら下付き文字で、不可能なら小文字で、これらは臨機応変です。例えばMOSFETのゲート-ソース間電圧はVgsのように表記します。このあたりの約束的なものはあまり無く、図と式できちんと対応付けるなど、誤解の無いように表記されていればいいでしょう。

先程のTLP781のデータシートでTaという記号が使われていました。これも一般的な習わしのようなものがあります。
・Ta … ケース周囲温度 (Ambient Temperature)
・Tj … 接合部温度 (Junction Temperature)
・θ … 熱抵抗(通常℃/W。1Wの電力消費発生時に何℃の温度上昇となるか)

記号には厳密な決まり事は無いはずです(私が無知なだけかも知れません)。誰かが使っていて変える理由も無いので踏襲している、といった程度かと思います。このようなユルさ加減なので体系的に解説される機会も少なく、今回まとめてみました。
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【旧BBSから移行】フォトカプラ・基本の「キ」(7・蛇足)
投稿日 : 2013/05/07(Tue) 13:24
投稿者 中の人1号
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ある方にとっては常識的な事柄が、他のある方にとっては初耳や目からウロコなどといった事は茶飯事だと思います。重箱の隅を突くような些細な事柄になるかも知れませんが、なるべく補足の解説をして行きたいと思っています。私自身、ある書籍の読解に他の書籍が必要で、その読解に他の…が偶然重なり不満を覚えた経験があります。限界はあるのでしょうが、伝える側にも努力が必要だと思います。

できましたら「ここがわからない」とか「全然わからないけど少しでも理解したい」とか思われましたら、そのようなツッコミを入れていただけるとありがたいです。世間では「聞くは一時の恥」と言われますがここでは「聞くは大歓迎」です。それでもちょっと、って時は「見たら消してください」みたいな。ちゃんと対応します。
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【旧BBSから移行】フォトカプラ・基本の「キ」(8)
投稿日 : 2013/05/08(Wed) 19:23
投稿者 中の人1号
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なんか最近、閲覧カウンタがこつこつ増えていて、本当に嬉しいです。見ていただいているって事は、そのままモチベーションになります。いつもいつも、ありがとうございます。

ひとつの記事(例えばこの基本の「キ」(8)のようなくくり)ができあがったタイミングで、更新のお知らせをTwitterに上げています。こちらもあわせてチェックいただけましたらと思います。

https://twitter.com/e3office

さて、これまでのまとめです。フォトカプラ発光側のLEDを駆動する回路の設計に着手しています。マイコンや論理ゲートなどのロジック出力で直接駆動する事を想定しています。

基本の「キ」(3)では、High出力で点灯させる(吐き出し電流で駆動する)か、Low出力で点灯させる(吸い込み電流で駆動する)かの判断をまず行いました。この時に吐き出し、あるいは吸い込める電流の限界…最大値が把握できました。以降これをI1と記載します。またI1が流れた際に、出力端子の電位がワーストケースでどこまで変化し得るのかも把握できました。

▼High出力で点灯させる
(吐き出し電流で駆動する)
・I1=IOH(Max.)
・出力端子電位のワーストケース:VOH(Min.)

▼Low出力で点灯させる
(吸い込み電流で駆動する)
・I1=IOL(Max.)
・出力端子電位のワーストケース:VOL(Max.)

なぜワーストケースがVOHではMin.で、VOLではMax.なのか。これはちょっと考えてみてください。リクエストいただけましたら補足解説します。

基本の「キ」(4)では、フォトカプラ発光側のLEDにとっての適正電流を求めました。以降これをI2と記載します。

基本の「キ」(5)では、I1<I2なのでいわゆる「無い袖は振れない」で、I1に合わせざるを得ないけれどまあ大丈夫ですと結論付けました。以降の回路図中のIはI1となります。またその場合のフォトカプラ受光側との事情についても少し触れました。
・I=I1

基本の「キ」(6)と(7)では回路図中のVsとVfについて、それらの最大・最小・標準値を求めました。

▼High出力で点灯させる
(吐き出し電流で駆動する)
・Vs(Max.)=電源電圧
・Vs(Min.)=VOH(Min.)
・Vs(Typ.)=Vs(Max.)とVs(Min.)の中央、またはVOH(Typ.)

▼Low出力で点灯させる
(吸い込み電流で駆動する)
・Vs(Max.)=電源電圧
・Vs(Min.)=電源電圧-VOL(Max.)
・Vs(Typ.)=Vs(Max.)とVs(Min.)の中央、または電源電圧-VOL(Typ.)

▼以降はHigh〜もLow〜も同じ
※TLP781(東芝製 汎用品)、If=2mAの場合
・Vf(Typ.)≒1.10V
・Vf(Min.)≒0.938V
・Vf(Max.)≒1.301V

なぜこうなったかについては、各記事を参照してみてください。
まとめはここまでです。結構長くなってしまいましたので、次の記事に続きます。

ちなみに、散々使ってきて今頃になって、タイミングが不適切感たっぷりなのですが、Max.はMaximumの略で最大値を意味します。Min.はMinimumで最小値、Typ.はTypicalで標準値です。この他にはNom.がNominalで公称値、Avg.がAverageで平均値などがデータシートや技術解析書で稀に使われます。
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【旧BBSから移行】フォトカプラ・基本の「キ」(9)
投稿日 : 2013/05/11(Sat) 21:58
投稿者 中の人1号
参照先
週末になると降るんですよね…雨(´・ω・`
図の中で求まっていない残りの値は、VrとRですね。

Vrは標準値を求めます。キルヒホッフの法則から求める事ができます。

|Vs(Typ.)|=|Vr(Typ.)|+|Vf(Typ.)|

見づらいので絶対値記号を外します。全て正の値で考えてください。

Vs(Typ.)=Vr(Typ.)+Vf(Typ.)
Vr(Typ.)=Vs(Typ.)-Vf(Typ.)

求まったVr(Typ.)からオームの法則を用いてRを求めます。これも標準値です。

R(Typ.)=Vr(Typ.)/I

キルヒホッフとかオームとか何なの!?って方もツッコんでください。この2つさえ理解できていれば設計業務のけっこうな部分をこなせます。逆に理解できていないと…と言う程重要な法則ですので、ご要望があればみっちりご説明いたします。
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【旧BBSから移行】フォトカプラ・基本の「キ」(反省の巻)
投稿日 : 2013/05/16(Thu) 23:39
投稿者 中の人1号
参照先
これはちょっと…申し訳ありません。
「フォトカプラ周りの設計って、こんなに大変なの!?」という印象を、多くの方が持たれると思います。

基本の「キ」と銘打っているからには、まずはサラッと紹介するべきでした。
これまでにご説明してきました設計の手順は、厳しい状況でも確実に動作させるためのものですので、少なくとも基本の「キ」ではないですよね…。

走り始めてしまったので、まずはこのままゴールまでいかせてください。新シリーズであらためて基本を紹介させていただこうと思います。

自らの確認も兼ねて、以降の手順を確認しておきます。

Rの標準値が求まったので、これをもとに最大・最小値を求めます。
求まったRの最大・最小値から、Iの最大・最小値を求めます。
念のため、抵抗で消費される電力の最大値を求め、定格に対する判断を行います。
Iの最小値とフォトカプラの電流伝達率CTRの最小値から、受光側フォトトランジスタに流す事のできる電流の最小値を求めます。
この最小値の手前で飽和するような、コレクタ抵抗を求めます。

けっこうありますね(汗)。がんばります。
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【旧BBSから移行】フォトカプラ・基本の「キ」(お知らせの巻)
投稿日 : 2013/05/24(Fri) 17:58
投稿者 中の人1号
参照先
すみません、更新が遅れています。
中の人1号はどうやら風邪を引いてしまったようです。
まだ大した事はないのですが、大事を取って徐行運転しようと思います。
もう1週間ほどお時間をくださいませ。
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【旧BBSから移行】フォトカプラ・基本の「キ」(10)
投稿日 : 2013/06/08(Sat) 01:28
投稿者 中の人1号
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大変長らくお待たせしてしまいました。
一度体調を崩しかけると、回復まで時間が掛かるようになってきました。
年をとってきているのですね…。

さて!
抵抗値に関しての話題から再開してまいります。
計算で求めた抵抗値を基に、適した固定抵抗器を選択する事になります。
ここでの留意点や注意事項についてお話していきます。

(1)固定抵抗器の抵抗値は「飛び飛び」
抵抗値のバリエーションを無限に増やす事はできませんので、ある程度の間隔ごとになってしまいます。
この間隔は規格で統一されており、メーカー毎にバリエーションが異なるといった混乱を防いでいます。

ここ最近では固定抵抗器の抵抗値は「E24系列」と呼ばれるバリエーションが一般的になっています。
文章よりも実際の数表をご覧いただくほうが早いでしょう。
Wikipediaの記事「標準数」項目「JIS C 5063の標準数列」→http://goo.gl/3YYke

E24系列では次の値が「ほぼ」1割増しという、「ほぼ」等比数列となっています(なぜ「ほぼ」になってしまったのか、その経緯はわかりません)。

このバリエーションから、計算結果に最も近い抵抗値を選択する事になります。計算結果より大きい側/小さい側どちらの値を選択するか。今回は電流の上限に制約がありますので、この上限制約を超えない→電流が小さくなる側→抵抗値の大きい側を選択するのがよいでしょう。

(2)固定抵抗器の抵抗値には、2つの変動要因がある
固定抵抗器の抵抗値としてあらかじめ定められている値、一般に「何Ωの抵抗器」と言われる、その値ですが、定格抵抗値や公称抵抗値と呼ばれる場合もあります。

この値を中心に、製造上どうしても生じてしまうばらつきが加わります。これが1つ目の変動要因で、誤差や許容差と呼ばれます。±5%や±10%のものが一般的です。±0.005%等の超高精度品もありますが、当然ながら価格に反映されます。今回は±5%の品種の使用を前提とします。

2つ目の変動要因は温度です。他に機械的応力等もありますが、加えたり変動させてはいけないものですし、あらかじめ取り除く事が可能な要素ですので通常は考慮されません。

温度の影響もなるべく少なくなるようには作られるのですが、ある程度は残ってしまいます。抵抗値が温度の影響を受ける度合いは温度係数と呼ばれ、ppm/℃の単位で表されます。ppmは100万分率です。

±400ppm/℃前後のものが一般的です。400ppmは0.04%と同じ意味です。±400ppm/℃は1℃の温度変化に対して、本来の値の100万分の400が増ないし減するという意味になります。

中には±700ppm/℃という品種もあるようです。今回は温度係数で選定するような用途でもないので、悪くとも±800ppm/℃には収まるであろうという前提で検討を進める事にします。

(定格や公称の)抵抗値は、+20℃を基準にする場合が多いようです。この+20℃から±50℃、つまり-30〜+70℃を使用温度範囲としましょうか。1℃で±800ppm=±0.08%なので50℃で±4%です。

1つ目の変動要因…誤差で±5%、2つ目の変動要因…温度係数で±50℃の温度変化に対して±4%、合わせて±9%が今回の変動範囲になります。例えば(定格や公称の)抵抗値が100Ωの場合、91〜109Ωの変動を考慮する事になります。
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【旧BBSから移行】フォトカプラ・基本の「キ」(コーヒーブレイク-2)
投稿日 : 2013/06/08(Sat) 23:11
投稿者 中の人1号
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「飽和」を語る前に、「増幅」について語らせていただきます。

増幅と言うと、いかにも小さな信号を大きくするかのような印象がありますが、私は水道の蛇口がより近いと考えています。小さな信号で大きな力をコントロールするイメージです。

水道からほぼ一定圧力で供給される水が電源に相当します。この水を出す/止めるを例えば指でふさぐ等の方法でコントロールするには、結構な力が必要ですよね?身近な事ですので、この感覚は共有していただきやすいと思います。

コックタイプなら回したり、レバータイプなら上下させたりと、蛇口を操作するために必要となる力はとても小さく済んでいます。これが入力に相当します。

小さな力で蛇口を操作して、勢い良い水を出したり止めたり程良い量にしたり、自在にコントロールできます。蛇口から出る水が出力に相当します。

飽和のイメージは蛇口ではわかりづらいかもしれません。蛇口は全開/全閉で動かなくなりますからね。いささか無理を承知で、全開/全閉の先もくるくる回るコックを想像してみてください。

全開から先、どれだけコックを回しても水量は増加しません。全閉から先、どれだけコックを回しても水量は減少しません。これらが飽和領域です。

全開から全閉までの間では、コックの回転角に(ほぼ)比例して水量を増減できます。これが非飽和領域です。非飽和領域には比例性の良い線形領域と、飽和領域に遷移しつつある非線形領域があります。

これらの雰囲気を左のグラフにまとめました。グラフ原点の位置や、各領域の幅は系により様々です。

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【旧BBSから移行】RE:フォトカプラ・基本の「キ」(1)
投稿日 : 2015/04/26(Sun) 21:57
投稿者 tkn
参照先
いつも参考にさせていただいています。一つ質問させてください。

50台程度のカメラを用いた同時撮影にフォトカプラを使用しています。既設の分配器のリモコンスイッチをフォトカプラに置き換えて使用していたのですが、分配器を増設しようと分解してみた所、図のような構成になっていました。

ここで親分配器に使われているトランジスタは、ダイオードとしてしか作用していないのではないかと思うのですが、何か他に意味はあるのでしょうか。

意味が無いのであれば、子分配器と同じものだけを制作して、親分配器との区別を無くしてしまおうと考えています。

フォトカプラはこの図のスイッチの部分に接続しています。カメラ側の制御電流が全てカプラに流れると思うのですが、現状問題なく使用できています。それに関して親分配器のトランジスタが何か寄与しているとは考えられますか?

ご意見を頂ければ幸いです。

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【旧BBSから移行】RE:フォトカプラ・基本の「キ」(1)
投稿日
tknさんはじめまして。ようこそいらっしゃいませ。
ご覧いただきありがとうございます。

また、わかりやすい図を書いていただいてのご質問もありがとうございます。

電子式レリーズの分配につきましてのご質問ですね。
中の人1号はいまだに機械式レリーズを愛用しております。
すみません、余談でした。50台とは大規模な撮影環境なのですね。

いただきました図の中のトランジスタは、確かにトランジスタとして機能しています。
必要か不要かは、この記事の文末で結論付けます。

カメラとの接続は、3極ミニジャック/プラグですかね?
ステレオヘッドホンとかに使われるのと同じようなものですね。
3極の端子配列は、図からは次のように見て取れます。
・ティップ(上):無接続
・リング(中):レリーズ(+)極
・スリーブ(下):レリーズ(-)極

レリーズ(+)極からレリーズ(-)極に向かって電流が流れると、シャッターが落ちるのでしょうね。

子分配器に備えられたダイオードのおかげで、あるカメラの
電流が他のカメラに逆流するのを防いでいます。

と、なりますと、全てのカメラのレリーズ(+)極からの電流は
トランジスタの3番ピン(エミッタ)に集まります。

ここで電流は二股に分かれます。
トランジスタの2番ピン(ベース)からスイッチを経由して、
各カメラのレリーズ(-)極に向かって流れる電流(ベース電流)と、
トランジスタの1番ピン(コレクタ)から各カメラの
レリーズ(-)極に向かって流れる電流(コレクタ電流)です。

ベース電流とコレクタ電流は、次の式の関係があります。
 コレクタ電流 = 電流増幅率β × ベース電流

電流増幅率βはトランジスタの品種により様々ですが、多くの品種で数十〜数百の値をとります。

つまり、コレクタ電流はベース電流の数十〜数百倍になります。
言い換えると、ベース電流はコレクタ電流の数十〜数百分の一になります。

具体的な値で考えて見ましょう。
カメラ1台あたり、1mAの電流が流れると仮定すると、50台分の電流が集まると50mAになります。

電流増幅率βを100だとすると、ベース電流がおよそ0.495mA、
コレクタ電流がその100倍の49.5mA、あわせて50mAになります。
言い換えると、50mAをオン/オフするために必要な電流が1/100の約0.5mAで済む事になります。

いよいよ実際のお話です。
図中のスイッチは、フォトカプラなのですね。
全てのカメラからの電流の合計値が、直接フォトカプラで
オン/オフできるのならば、トランジスタは不要になります。
実際の電流を知る方法は、実際に測定する以外にはなかなか無さそうです。

まとめです。
現在の状況と、取り得る/取るべき対策として、3つのケースが考えられます。

・ケース1:トランジスタが省略可能な場合
…レリーズ電流の合計が、フォトカプラでオン/オフ可能な範囲内の場合

・ケース2:トランジスタが必要な場合
…フォトカプラの範囲外ながら、トランジスタの範囲内の場合

・ケース3:より大容量のトランジスタが必要な場合
…現在使用しているトランジスタでも範囲外の場合

トランジスタが壊れて、同じトランジスタに交換してもまた壊れる場合、
ケース3の状況かもしれません。

トランジスタが壊れずに、使い続ける事ができているようでしたら、
ケース1またはケース2の状況と考えて(概ね)差し支えありません。

ケース1の場合、トランジスタは冗長になるのですが、
特段の問題でもなければ、そのままでもいいのかなとも思います。
投稿者 中の人1号
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【旧BBSから移行】RE:フォトカプラ・基本の「キ」(1)
投稿日 : 2015/04/28(Tue) 01:10
投稿者 tkn
参照先
非常に分かりやすい解説ありがとうございます。

自分で図を作っておいてなんですが、今見直してPNPトランジスタで混乱していたのだとやっと気づきました。(エミッタは-側という感覚でした)

おそらく2のケースが無難だと考えられるので、同じ構成で作成しようと思います。

本当にありがとうございました。


余談ですが、PNPの接続ではエミッタとコレクタの言葉の意味と合わないように思います。電子の向きということなんでしょうかね・・・
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【旧BBSから移行】RE:フォトカプラ・基本の「キ」(1)
投稿日 : 2015/04/28(Tue) 01:38
投稿者 中の人1号
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tknさん、モヤモヤが解消されたようで何よりです。
私、トランジスタの利用経験は長いのですが、お恥ずかしい話、動作原理には全く疎いのですよね…。

おそらくはNPNとPNPで、多数キャリアと少数キャリアが電子と正孔、逆になるのではないでしょうかね。
どっちがどっちなのかも定かでないのですが。

まあ、このあたりは半導体材料・物性の専門家におまかせしておきましょう(大汗
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【旧BBSから移行】RE:フォトカプラ・基本の「キ」(1)
投稿日 : 2018/11/03(Sat) 14:51
投稿者 tkn
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その節はお世話になりました。
実はブックマークが消えてしまって、何とか検索を駆使して辿り着くことができました。

最近もフォトカプラを使う工作をしておりまして、気になる事がありましたのでご意見を頂きたいと思っております。

装置Aのオープンコレクタ出力に対して、LEDを点灯させる回路を作成しています。
プルアップとしてR7を置いていますが、フォトカプラでLEDを駆動する程度であれば不要なのではないかと考えています。

出力オフ状態で誤動作の可能性は考えられるでしょうか。

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【旧BBSから移行】RE:フォトカプラ・基本の「キ」(1)
投稿日 : 2018/11/03(Sat) 16:29
投稿者 中の人1号
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tknさん、お久しぶりでございます。
思い出していただきありがとうございます。
こちら側の都合で恐縮なのですが、ここのスレッドもだいぶ長くなってしまいましたので、別スレッド「フォトカプラ・基本の「キ」(2)」にお引越しさせてください。
ご質問のコピーをそちらに置かせていただきますね。
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