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【旧BBSから移行】転ばぬ先のノイズ対策・パスコン考察(1)
投稿日 : 2014/11/26(Wed) 02:27
投稿者 中の人1号
パスコンを始めとして、回路設計時にあらかじめほどこしておく
ノイズ対策法についてまとめてみます。

ノイズにもいろいろな種類があります。
発生源の種類、発生の原因、伝わり方によって分類されています。

私はノイズ対策の専門家ではなく、
これらを詳しく解説できるほどの理解には至っていません。

ですが回路設計に携わる中で、発生するであろうノイズに対し、
それが悪影響を及ぼさないようにあらかじめ考慮すべき点に
つきましては、ある程度のノウハウを蓄えてきましたので、
ここにまとめておきたいと思います。

ここでは電源ラインを伝わる恐れのあるノイズ(伝道ノイズ)への
対策をメインに展開していきます。

「伝わる恐れのある」なので、「伝わらない」ようにすれば良い
わけです。ところが対策が充分でないと、伝わってしまうのはもちろん、
そこから飛び出して思いも寄らぬところへ影響を及ぼしてしまう
かもしれません(電磁誘導ノイズ、静電誘導ノイズ、放射ノイズ)。

ノイズがどこでどう発生して、どこをどう伝わって、どこにどう
悪影響を及ぼすか、事前に予測・把握する事は難しいと思います。
数百万〜数千万円もするようなソフトウェアではこれが実現できます
…なんて広告も見かけますが、少なくとも私にはそんなに高価な
ソフトウェアは購入できません。

ですが回路設計を行っている以上、回路動作については把握できており、
ノイズの発生源となりうる箇所の見通しをつけて、予防的な対策…
予防策をほどこしておく事は常に心掛けておいて損はありません。

ノイズの予防策における代表選手が、「パスコン」でしょう。
このパスコンの意味・役割・使い方から、パスコン以外にも有効な
予防策が見えてきます。そんな道筋でお話を進めていきたいと思います。

パスコンは、バイパスコンデンサの略で合っていると思います。
回路設計者間の会話で良く登場する言葉ですが、そこには3つの意味が
含まれ、またそれらが混同されがちになっているのではないかと思って
います。

■「パスコン」には実は、3つの意味がある!
・バイパスコンデンサ
・デカップリングコンデンサ
・平滑コンデンサ

すみません、前置きがずいぶん長くなってしまいました。
次回はこれら3つの意味について、お話して行きたいと思います。
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【旧BBSから移行】転ばぬ先のノイズ対策・パスコン考察(2)
投稿日 : 2014/12/04(Thu) 01:40
投稿者 中の人1号
投稿元IPアドレス
投稿元ホスト
およそ1週間に1回くらいの更新ペースは維持したいですね。
がんばります。

では本題…の前に、さらに前置きです。
コンデンサそのものについて、少しお話します。

コンデンサは電荷を蓄積する部品です。
電荷は、電気そのものと考えていただいて差し支えありません。
電荷の移動する度合いが電流で、電荷を流そうとする力が電圧です。

極性の変化しない直流電圧が加わると、コンデンサには電荷が流れ込み、
蓄積されます。充電ですね。それにつれてコンデンサ両端の電圧が上昇し、
加えられた電圧に等しくなると、それ以上の電荷が流れ込む事はなく、
充電は終了します。コンデンサは直流を通さないとか、遮断するとかの
説明をよく見かけますが、充電期間中は電流が流れます。

コンデンサには静電容量と呼ばれる値があります。
同じ直流電圧を加えた場合、蓄えられる電荷の量は静電容量に比例します。
静電容量が2倍になると、蓄えられる電荷の量も2倍になるわけです。
静電容量が大きくなると、充電期間が長くなるか、あるいはその間流れる
電流が大きくなるか、あるいはその両方が起こり得ます。

極性が時々刻々変化する交流電圧が加わると、コンデンサは充電と放電を
繰り返します。プラスの極性に充電された後、一旦放電されて、マイナスの
極性に充電され、また一旦放電、といった事を繰り返すわけです。
コンデンサは交流を流すとか、通過させるとかの説明は、この充放電電流を
指しているのですね。

交流電圧を加えられたコンデンサに流れる電流は、静電容量に比例します。
また交流電圧の周波数に比例します。静電容量が大きなコンデンサほど
交流を流しやすく、また高周波ほど流れやすいわけです。

もうひとつ、引っ張ります。あぁなかなか本題に入れない(泣

純粋なコンデンサというものは、手に入りません。現存するあらゆる
コンデンサでも、本来のコンデンサとは異なる性質があります。
このあたりは応用編になりますので、後でまたお読みいただいても結構です。

コンデンサを充電・放電する際、とても大きな電流が流れたり、流れて
しまったりするはずなのですが、実際にはある程度に制限されます。これは
現実のコンデンサには、見えない抵抗が直列に接続されているからなのです。
これを等価直列抵抗(ESR; Equivalent Series Resistance)と呼びます。

コンデンサに加わる交流電圧の周波数が高いほど、電流が流れやすくなる
はずなのですが、どこかを境に逆転してしまい、周波数が高いほど、電流が
流れづらくなってしまいます。これは現実のコンデンサには、見えない
インダクタンス(コイルの性質)が直列に接続されているからなのです。
これを等価直列インダクタンス(ESL; Equivalent Series Inductance)と
呼びます。周波数を横軸に、電流の流れづらさを縦軸にしたグラフを想像
してみてください。周波数が上がるにつれ電流の流れづらさは減少して行き、
つまりグラフは下降して行き、どこかを境に上昇に転じるわけです。
この境となる周波数、グラフの谷間にあたる周波数を、自己共振周波数
(SRF; Self Resonant Frequency)と呼びます。

等価直列抵抗(ESR)も、等価直列インダクタンス(ESL)も、無いに越した事はない、
つまり小さいほど良いと言えるのですが、一概に大きな静電容量の
コンデンサほど、これらのオマケが大きく付いてきてしまいます。

コンデンサについては大は小を兼ねない、という結論で今回を締めくくります。
次回こそ、パスコンの3つの意味に入りたいです。
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【旧BBSから移行】転ばぬ先のノイズ対策・パスコン考察(3)
投稿日 : 2014/12/13(Sat) 03:38
投稿者 中の人1号
投稿元IPアドレス
投稿元ホスト
アクセスカウント8000超えか…(しみじみ)。
この数にはある程度、ロボットさんも含まれるのでしょうが、
それでもすごい数だと感じています。

あらためまして、ご覧いただきありがとうございます。
ついでにできましたらなにか、なんでも、話題を置いていってください。
これからもよろしくお願いします。

さて、いよいよ核心、バイパスコンデンサからまいりましょう。

バイパス…どんな意味でしょう?
英単語のbypassは、「迂回する」などの意味があります。
身近なところでは、国道○○号線バイパスとか。迂回してますね。
冠動脈バイパス術とか。これも迂回してます。
バイパスコンデンサのバイパスも、「迂回する」の意味でOkです。

では何を迂回させているのか?ノイズには違いないのですけどね。
この記事のお題にもなっているわけですし。

それでは、バイパスコンデンサがノイズを迂回させる働きを、
イメージを交えながらお話していきます。

例えのお話になりますが、ゲリラ豪雨。狭い地域内に、短時間に、
大量の雨が降り注ぎます。雨水はどこかに流さないとどんどん
溜まっていき、いずれあふれ返ります。いわゆる洪水の状況です。

洪水を防ぐための対処法は、道路側溝やグレーチングが身近です。
(どんなものか気になったら、Google画像検索で調べてみてください。
ご覧になった事があるものが出てくるはずです)

ところでこれらの対処ですが、ゲリラ豪雨が発生した地域の、
なるべく近いところで行わないと、効果が薄れてしまうと思いませんか?
洪水は起こりやすくなるでしょうし、その範囲も広がってしまうでしょう。

これがイメージです。
張本人は、例えのお話ではゲリラ豪雨でした。
実際のお話ではノイズ発生源です。

対処法は、例えのお話では道路側溝やグレーチングでした。
実際のお話ではバイパスコンデンサです。

留意事項は、例えのお話でも実際のお話でも、
「張本人のなるべく近くで対処する」になります。

あららもうこんな時間。すみません、今回はここまでにします。
もう1回、バイパスコンデンサについてお話します。
次回は実際に即したお話です。
それでは、おやすみなさい。
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